業務の内製化とは?メリットやデメリット、成功のポイントを紹介

2022.10.24

近年、企業では業務を外部委託から内製化する傾向が見られます。ビジネスの変化に合わせて企業体制も変化が求められており、経営手法の1つとして取り組んでいるところもあります。

とはいえ、内製化とは具体的にどのようなことを行うのでしょうか。ここでは、業務の内製化について説明しながら、内製化のメリット・デメリット、成功させるためのポイントについて紹介します。

内製化とは?注目されている理由

内製化とは、ある業務を外注せず、社内だけで行う企業活動のことをいいます。

これまでは、社員をコア業務に集中させるためそれ以外の業務、専門外の業務を外部に委託する「アウトソーシング」が多く行われてきましたが、現在では内製化が再び注目されてきています。

その理由として、知的財産の流出を防ぐ目的が考えられます。競争の激しい現代のビジネス市場では、これまで積み上げてきたノウハウは企業にとって差別化を図る重要な要素であり、また守るべき財産です。

内製化にすると社外へ流出するリスクが低減されるうえ、経費の削減につながる可能性もあることから、近年では内製化へシフトする傾向にあるのです。

ちなみに、他社の要員が常駐して業務を行っている場合は、たとえ社内で行われても内製化とは呼ばないので注意しましょう。

内製化のメリット

業務を内製化することには、多くのメリットがあります。それぞれのメリットについて解説していきます。

内部のみでの情報共有ができる

内製化が注目される理由にも述べたように、知的財産を守ることは大きなメリットになります。

外部委託をする場合は機密保持契約を締結しますが、社内外に関わらず情報に触れる機会が多ければ流出のリスクは増加します。一度流出してしまうと、現状を回復することは不可能であり、場合によっては社会的信用も失いかねません。

業務を内製化できれば、社内の要員のみに情報を留めることができるため、「情報」という財産を守ることにつながります。

業務がスピーディーになる

内製化は業務がスピーディーになる点もメリットです。外部委託は契約手続きも煩雑で、日時などの取り決めなどもあるため時間がかかります。それに対し内製化は人材の調整をするのみで、スケジュールなどもその場で決定することが可能なため、スムーズな進行が期待できます。

また変更や修正がある場合でも、外部委託の場合は会社間での連絡や手続きに一定の時間がかかりますが、社内で行えば迅速に行えます。

社内の運用方法・内容を細かく蓄積できる

自社内のノウハウや特定の技術を蓄積できる点も、内製化のメリットです。外部委託にすると、業務に関する社員の負荷は軽減されますが、ノウハウも残りません。一方、内製化でノウハウを蓄積しながら社内で伝承できれば、事業を継続するための大きな強みとなるでしょう。

細かい対応がしやすい

内製化は、業務内容も社内事情も把握している社員により行われるため、自社の要件を満たした業務システムやツールを構築しやすくなります。使いやすいシステムであれば、トラブルが発生してもすぐに対応できるだけでなく、継続することで生産性の向上につながります。

また関係者は決められた社内の要員だけになるため、オープンで円滑なコミュニケーションや、情報共有も期待できるでしょう。

コストを削減できる場合がある

近年は、ローコードで作成できるシステムやアプリが増え、IT専門家でなくても社内で完結できるものもあります。もちろん、自社内で発生するコストはありますが、システムを自社で開発・運用ができれば、委託する必要がないためコストをかなり削減できるでしょう。

内製化のデメリット

一方で、内製化にはデメリットもあります。外部委託の場合、必要分の業務に対して料金を払うのみですが、内製化はすべて自社で行うため、導入コストはもちろん、システムを運用する以外のコストもかかります。

たとえば、専門知識や経験を持つ人材の雇用、または知識やスキルの習得、継承するための社員の育成などに投資する必要があります。特に社員の育成には一定の時間がかかるため、滞りなくシステムを継続する体制づくりなども必要になるでしょう。

外部委託するか内製化するかの判断点

内製化にはメリットが多いといっても、業務内容やシステムの条件、サービスの品質などによっては、外部委託のほうが時間やコスト、業務負担が軽減される、あるいは外部委託が必要になるケースもあります。

そこで外部委託と内製化のどちらがよいのか、判断するためのポイントを3つ紹介します。

どちらがコスト削減できるか

内製化には、特定の人材雇用または人材育成、設備投資など、システムの導入・運用コスト以外の費用も必要です。外注による報酬や諸経費とどちらがコストを削減できるか、それぞれにかかる金額を比較し、適正なコストを明らかにしたうえで判断しましょう。

短期間・長期間どちらの業務なのか

業務内容が、短期間か長期間かも判断する材料になります。導入するものが一時的なものであれば、外部委託で必要な経費を払うのみで完了します。一方、長期的なものであれば、経済的な面はもちろん、ノウハウの維持・蓄積などさまざまな観点から考慮しなければなりません。特に、継続性の高いものは慎重に判断しましょう。

業務の専門性・知識を持った人材がいるか

業務内容によって、専門性の高いものかそうでないかを見極めることも、判断には大切です。専門家が必要になる場合は、適格な人材を雇用するか、外部委託を行います。

外部委託の場合、専門的な知識やスキルを持った人材を派遣できるだけでなく、一般の企業には揃えるのが難しい高額な設備や機材を持っていることもあります。内製化では難しいことができるという評価も、判断の1つとして考慮しておきましょう。

内製化成功のための着目ポイント

内製化・外部委託を比較するだけでは、成功に導くことはできません。ここでは、成功につなげるポイントを押さえておきましょう。

自社の主力業務であるか

まず、根本的な問題として、内製化を進めている業務が企業にとって中核的な存在であるかが重要です。主力となる業務である、または今後成長が見込まれる業務は、長期的な目線での対策も必要になります。

リソースの確保は可能か

内製化を行うには、企業が持つリソースを最大限に活用しなければなりません。特に「人材」「設備」「場所」などで、必要に応じて人材を採用したり設備投資したりすることも考えられます。人的リソースに関しては、負担をかけ過ぎない体制づくりとフォローが求められます。

コストが高くならないか

内製化は、自社内の取り組みとなるため外部委託費はかかりません。繁忙期などがある業務においては、閑散期でも維持できる内製化は強みとなるでしょう。しかし、人件費や設備など、長期的な投資が必要です。

業務内容や期間などに応じてコストは異なるため、必ず予算を算出しましょう。

まとめ

情報を守ることは、会社を守ることにもつながり、内製化の実現は企業にとって大きなソリューションとなり得ます。しかし人的リソースやコストを考えると、内製化がすべてよい結果を生み出すとは限りません。特にシステムの構築は、ITの専門知識やスキルが必須になるからです。

そのためには信頼できるIT専門のベストパートナーを見つけ、社員と協力しながら取り組む形がベストといえるでしょう。

(画像は写真Pixabayより)