攻めのIT投資とは?DX推進に必要な理由と求められる人材

2022.10.04

これまでのように業務にITを活用するだけでなく、新しい事業に挑戦するために必要な考え方として、「攻めのIT」と「守りのIT」があると考えられています。これらは、企業がデジタル化を進めていくうえで必要な考え方の1つです。

本記事では、主に「攻めのIT」に関して概要や、攻めのITを実現する方法について詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

IT投資には「攻め」と「守り」がある

IT投資には「攻め」と「守り」があると考えられます。まずは、意味の違いや、それぞれのIT投資の具体例について紹介します。

攻めのIT投資と守りのIT投資の違いは?

攻めのITとは、利益を向上させるためにITを活用し、ビジネスチャンスを広げていくことを意味します。企業の収益を増加させる場合や、営業のためにITを活用する場合など、能動的にITを活用することが「攻めのIT投資」とされます。

一方で、守りのITとは、これまでのビジネスモデルを変更せず、事業のコスト削減を目的としてITを活用します。つまり、受動的にITを活用する場合、「守りのIT投資」となります。

どちらかのIT投資を行えば、確実にメリットを得られるわけではありません。両方のIT投資をうまく取り入れる必要があります。

それぞれの投資の具体例

攻めの投資には、以下のようなものがあります。
・新たなサービスを導入するための投資
・オンラインショップなどECサイト運営における投資
・クラウドサービス導入のための基幹システム導入
・AI技術における対顧客コミュニケーションの自動化

一方、守りの投資には次のようなものがあります。
・セキュリティのメンテナンス費用
・自動化ツールの開発
・ITインフラのクラウド化
・データ管理のためにかける費用

このような攻め、守りの姿勢をうまく織り交ぜながら取り入れることで、自社の利益を最大化できるはずです。

DX推進には攻めのIT投資が求められる

DX推進においては、攻めのIT投資が重要だとされています。ここでは、攻めのIT投資が必要な理由を紹介します。

攻めのIT投資が欠かせない理由

DX推進においては、攻めのIT投資を意識することが重要です。なぜなら、単なるIT導入や業務プロセスのIT化だけでは製品やサービスを変革できないからです。守りのIT投資だけでは、これまでの技術を効率化させることしかできず、これまでの技術を抜本的に解決することにはつながりません。

もちろん、守りのIT投資が全く不要で、完全にゼロにすることが求められているわけではなく、当然、守りのIT投資によって社内コストを削減したり、業務を効率化したりすることの重要性は理解されています。

しかし、守りばかりでは周りの企業にも海外の企業にも負けてしまい、企業間競争に勝ち抜くことはできません。経済産業省がDXレポートで提示している「2025年の崖」では、「日本企業がDXを推進しなければ、2025年以降の5年間で、最大で年間12兆円の経済損失が生じる」と記載されており、そういった現実がすぐ目の前に迫ってくると予想されています。

参照:DXレポート
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf

攻めのITにはDX人材が必要

攻めのITを取り入れるためには、DXに強いDX人材が必要です。ここでは、DX人材の概要や、どういったスキルが求められるのかについて紹介します。

DX人材とは?

DX人材とは、ビジネス的な視点でIT機器を活用し、デジタルトランスフォーメーションを進める能力を持つ人材のことを指します。DX人材を集めることを考えると、「技術力の高い人材を雇うべき」と技術面にフォーカスされがちです。しかし、攻めのIT投資を行うためには、ビジネス的な視点を保有していることも特に重要となります。

DX人材に求めるスキルや意識

DX人材には、従来の技術に加え、IoTやAIなどの幅広い知識が必要とされます。具体的には、以下のような能力を持つ人材を求めると、攻めのIT投資を行ううえで役に立つでしょう。

・企画力
・プレゼンテーション能力
・ITツールを活用したコミュニケーション能力
・AIに関するスキル
・プロジェクトマネジメント力
・マーケティング力
・コンサルティング能力

このほかにも、アサインする案件によっても必要な能力は異なります。

攻めのIT投資へのステップ

IT投資を全く導入していない場合は、全ての管理をアナログで処理していることと思います。この状態でも運用はうまく行っていると考えてしまいがちですが、情報を共有する際には誰かに聞いたり、書類から必要な記録を検索したりなど「属人性」のある状態で管理を行っていることになります。

場合によっては、担当者が退職したあとに連絡体制の脆弱性に気づくこともあるでしょう。しかし、攻めのIT投資へ切り替えれば、業務の属人性を改善でき、スムーズに処理できるようになるはずです。ここでは、経済産業省が提唱している考え方を参考に、3つのステップを解説します。

1.業務の置き換え

まずは、事務処理や報告をパソコンに記す段階です。例えば、人同士の連絡をメールに変更したり、会計処理作業をExcelに切り替えたりするステップです。この段階では、業務のところどころでパソコンを使用するようになります。

2.守りのIT段階

守りのIT段階は、事前に使用しているITツールの業務効率化を図るステップです。自動化できるフローを効率化したり、代替できるITツールに変更したりします。例えば、メールのやりとりをビジネスチャットに変更したり、Excelで管理していた経理作業を会計ソフトに切り替えたりすることが守りのIT段階で行う作業です。

3.攻めのIT段階

攻めのIT段階は効率化だけでなく、競合優位性を獲得するためにITツールを使用する段階です。ITを新しい商品・サービス開発のために活用したり、マーケティングのために活用したりします。

まとめ

本記事では、「攻めのIT」に関して概要や、攻めのITを実現する方法について詳しく解説しました。攻めのITを取り入れることで、自社の価値を高めることが可能です。システムによって業務効率化や自動化ができている段階なのであれば、ずっと守りのITではもったいないでしょう。

DX人材を採用し、新たな視点でITツールを活用する「攻めのIT投資」を取り入れることは、自社の発展にも大きく貢献します。さらなる成長のためにも、攻めのITという考え方を念頭に、ITツールの導入を進めることは重要です。

また、攻めのITを取り入れる場合は、これまで以上にIT、ビジネス的な視点が必要となります。攻めのITを取り入れるのであれば、信頼のおけるITパートナーを見つけて、しっかり相談することがおすすめです。

(画像は写真Pixabayより)