今注目のDXとは?現状から課題、IT化との違い、ツールまで解説

2022.09.14
 

政府の取り組みもあり、大企業を中心にビジネスの現場ではDXという言葉が浸透してきました。将来の企業の在り方や働き方を考え、DXへの取り組みを検討している企業も多いのではないでしょうか。

しかし一方で、テクノロジーの急速な発展から統一的な認識がなされていない現状もあり、デジタル用語が混同したり、DXに対する認識が個人で異なっていたりするケースも生じています。

そこでこの記事では、DXについて正しく理解するため、DX概要と現状の課題、進め方などについて解説していきます。

DXとは

DXとは「digital transformation」のことで、「デジタルによる変革」という意味になります。もともとはスウェーデン・オウメ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念で、「デジタル技術を活用して、生活をより良い方向に変化させる」という趣旨の言葉とされています。

日本では、2018年に経済産業省が[DX推進ガイドライン](https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx_guideline.pdf
)を策定・公表し、DXを活用した新しいビジネスモデルによる価値創造を推進したことから、ビジネス分野での取り組みとして認識されるようになったのです。

なぜDXがビジネスで注目されているのか

インターネットやスマートフォンの普及により、私たちを取り巻く社会はデジタル化に移行しました。時代の流れから考えてもビジネスのDX化が重要なのは明らかです。

また働き方改革やコロナ禍の影響などによりリモートワークが増加し、労働環境の変革と整備が求められるようになったことも、DXが注目されるきっかけになりました。

さらにDXが注目される重要なキーワードに「2025年の崖」があります。これは経済産業省の[DXレポート](https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/DX_report.pdf)において指摘されている懸念事項です。

これまで導入されてきた企業のITシステムは老朽化、複雑化、ブラックボックス化が進み、十分なデータの利活用ができず新しいシステムに移行しても効果が限定的になります。また、既存システムを刷新するには現場の改革や予算などの問題が生じる可能性もあります。現存する多くの企業が、これらに該当すると考えられているのです。

そのためDX化を推進しシステムの問題を解決しなければ、2025年以降は毎年最大で12兆円の経済損失を生じる可能性があると指摘しています。

DX化とIT化の違い

ここで、DX化とIT化の違いについて説明します。

IT(Information Technology)は、「情報技術」と訳され、インターネットを介して物事を便利にする技術のことを指します。社内業務などを効率化するソフトやシステムなどがあげられ、IT化はアナログ作業からデジタル作業への移行ともいえるでしょう。

それに対しDX化は、ITでデジタル化されたデータを活用し、製品やサービスを創造したり、ビジネスプロセスを変革したりといった、新しい価値を生み出すシステムを構築する活動といえます。

IT化で止まらないためには?

IT化からDX化へ移行するために、何から始めればよいか分からない人もいるでしょう。まずは具体的に何ができるかではなく、「何をしたいか」ということを明確にすることが大切です。

物事を改善・最適化するためにその課題に向き合い、DXの方向性を決めていく必要があるからです。

DX推進における現状と課題

2025年の崖というリスクを回避するためには、DXの推進が急務です。しかしDXレポートでは、DX化の足かせになっているのはシステムの老朽化だけではないと指摘しています。

その1つが「デジタルに対するビジョンと戦略の不足」です。企業の経営層はDXが必要と認識しながらも、どのような変革を起こすべきか模索している、またはコミットが弱く判断できない傾向にあります。

またDXを進めていても、PoC(Proof of Concept)ばかりを繰り返すケースもあります。PoCとは「概念実証」という意味で、検証するばかりで実際にDX化に進めない状態のことをいいます。まずは経営層が危機意識を持ち、組織改革や戦略などの意思決定が必要です。

そして困難な課題が、IT人材の不足です。デジタル領域でのイノベーションには、IT人材の確保が重要な要素です。IT人材を雇用できない場合は、DXを推進する外部のITパートナーを探しましょう。

DX推進ガイドライン

DXの概要でも触れましたが、日本がDXという概念をビジネスに広げるきっかけとなったのが経済産業省の「DX推進ガイドライン」です。

ガイドラインは、「DX推進のための経営の在り方、仕組み」「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の2つの要素で構成されています。これは、経営ビジョンや経営トップのコミットメント、体制づくりなどにフォーカスしながら、実際の活動に必要なITシステムの構築を行っていくための考え方や行動指針、実行プロセスなどを説明しています。

DXの進め方と注意点

DXの進め方は、業種や企業によって目的や対象が異なるため同じではありませんが、基本的な進め方を説明します。

まずは、DXで実現したい目標(ゴール)を決めること。よくある失敗に、システムを導入しても活用しきれない、成果が出ていないということがあります。まずは目的や目標をしっかりと決め、それを軸に計画を行います。

目的が明確になったら具体的な計画や予算などを立て、経営層の同意を得たあとにDX化をプロジェクトとして体制を整えていきます。体制としては、人材の確保・育成、適正なシステムを導入するためのリサーチなどを行います。

その後は自社システム環境の見直し、評価、分析などのほか、適切なサービスの比較・検討を行い、業務フローをデジタル化していきます。組織全体、業務プロセスをデジタル化することでDXの基盤を作り、それらをもとにシステムの導入を行います。

注意したいのが、「導入したら終わり」ではなく、システム導入後の評価を必ず行うということです。継続的に成果が出ているか確認し、必要に応じて改善していきましょう。

DX推進のポイント

DXは、技術ではなく概念です。デジタルを駆使して人と人、モノとモノがつながったり、業務やプロセスを効率化したり、最適化したりすることで、ビジネスの変革と成長を目指そうという考えです。

よくある間違いとして、DX化が目的になっている事例があげられます。DXはあくまでも手段なので、最終的に企業が何を求めているのか、何を変えていきたいのかを認識し、社員で共有しましょう。

DXで活用できるツールの種類

DXで導入する技術にはさまざまなものがありますが、ここでは主な例をあげていきます。

・AI
人工知能のことで、機械学習やディープラーニングなどを用いて、入力されたパターンやルールから学習し、認識・判断・予測などを行います。

・IoT
IoTは、インターネットを介してさまざまなモノがつながり、遠隔操作や自動制御などを行う技術です。

・クラウド
クラウドは、コンピュータネットワーク上にデータを保存する仮想空間のことです。オンラインであれば場所や端末を選ばず必要なときに必要なデータをすぐに取り出せます。

注目のDXを理解して推進しよう

DX化で政府が求めているのは、企業の成長による国内市場の活性化、またグローバル市場での優位性を確立することです。日本の商品やサービスの販路を世界に広げ、競争するためにはデジタル化の促進にかかっているといえるでしょう。
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DXにはIT人材が欠かせません。信頼のおけるITパートナーを見つけ、早めに相談してみてはいかがでしょうか。

(画像は写真Pixabayより)