データ活用にはフレームワークが必要!種類や上手な活用方法とは?

2022.09.14
 

DX化、ICT化など、インターネットやIT技術を活用した企業戦略が進められています。その主な狙いは、データの利活用です。しかし取り組みを始めたものの、どのようにデータを活用したらよいか分からないという担当者の声を聞くこともあります。

データを集めただけでは、戦略につながりません。そこで近年、データ活用を促すフレームワークとして注目されているのが、「DIVA」です。

ここでは、「DIVA」とは何か、その概要と活用方法について紹介していきます。また、段階別に適用できる分析手法についても解説します。

企業でデータ分析・活用が必要とされている理由

なぜ、企業でデータ活用が求められているのでしょうか。それは、政府の取り組みからもうかがえます。総務省では、データをビジネスの「資源」として、ICT政策のなかでデータの利活用を促進しています。ICTとは、Information and Communication Technologyのことで、「情報通信技術」と訳されます。

「ICT成長戦略会議」によると、企業が通信技術を使ってデータを収集し、経営上の課題を解決することで「収益の向上」や「新たなビジネスモデルの創出」の可能性につながり、豊かな国民の生活と経済成長を促すと考えています。

また世界での競争力を高めるためにも、データ活用を広めていく必要があるとしています。

データ活用のフレームワーク「DIVA」

では、データ活用の重要性を踏まえた上で「DIVA」とは何かを理解していきましょう。

「DIVA」とは

「DIVA」とは、データ(Data)、情報(Information)、価値(Value)、効用(Achievement)の頭文字をとったもので、ICTなど情報通信専門のコンサルタント・鈴木良介氏が開発したデータ活用のフレームワークです。

データ、情報、価値、効用(売上、生産性向上などのソリューション)という流れのなかで、アルファベットごとに得たい要素を明らかにし、その都度どのようにアウトプットしていくかを示した考え方です。

「DIVA」の活用方法

まず、世の中の事象を「収集・生成」して得られるのがデータ(Data)であり、そのデータを「分析・解釈」して得られるのが、情報(Information)です。この段階では、特定の人に対して何らかの意味を持った情報が「見える化」された状態です。

今度は、その情報に「働きかけ」を行うと、利用者/消費者に「振る舞いの変化」が起きます。つまり、見える化されていた情報から、何らかのアクションによって価値(Value)のあるものに変化します。

その価値が働きかけよりもさらに効果を発揮したとき、効用(Achievement)につながるのです。

データ活用では、多くの仮説を立ててしまうとその効果・検証を行うだけで終わってしまう可能性があります。DIVAはデータ活用を4つのシンプルな要素に分けるので、アウトプットにつなげやすいという特徴があります。

DIVAで最も重要となるのが、「働きかけ」です。データを集め、情報を「見える化」しただけではデータを活用したことにはなりません。

例えば「社内の業務フローにある問題を特定し、改善策を提案した結果、業務効率が5%向上した」という場合、改善策が「働きかけ」であり、業務効率が「価値のあるもの」に変化したことになります。そして最終的に「売上」や「コスト削減」などの効用にもつながっていく可能性があります。

「DIVA」が必要な理由と役割

DIVAは2つの役割があります。1つはデータを重要資源として活用すること、もう1つはデータ活用の一連の目的をプロセスごとに明確化することです。

DIVAは、データ、情報、価値、効用の流れを基盤としていますが、経営者のなかには効用、価値、情報、データという、反対の流れで考える人もいます。それは経営者として「売上」や「業績」が先決の課題であるためと考えがちだからです。

しかしデータ活用は、データから物事の価値を生み出すことが優先であり、売上や業績はその延長線上にあるものと考えた方がよいでしょう。

もう1つ、DIVAは議論を明確にする意味が含まれています。社内会議などで、企画部、経理部、情報システム部などそれぞれの観点で話をすると、話がまとまらないことがあります。

それぞれの主張をDIVA上にマッピングし、どのプロセスでどの議論を必要とするのかを明確にします。

データ活用の段階別でフレームワークを決める方法も

DIVAはデータ活用のプロセス全体を表したものですが、データ活用の技法を3段階のレベルに分け、それぞれの段階でフレームワークを活用する方法もあります。段階ごとに見ていきましょう。

段階① 現状の把握

段階①は、現状を把握するためのデータを収集し、抽出します。「業務はうまくいっているか」「プロジェクトの進捗状況はどうなっているのか」「昨年と比べて売上は伸びたのか」など、社内が保有するデータを中心に、現在の客観的な「事実」という基盤を作ります。

この段階で使われるフレームワークは、以下のものがあげられます。

3M:業務などの「ムリ」「ムダ」「ムラ」を抽出する手法
VRIO:経営資源のValue(価値)・Rareness(希少性)・Imitability(模倣可能性)・Organization(組織)を明らかにする考え方
バリューチェーン:それぞれの価値が鎖のようにつながって、連鎖を作るという考え方

段階② 分析と認識

段階②は収集したデータの分析作業に入ります。例えば、どんな商品が、いつ、どのくらい、誰に売れたなど、過去の客観的な事実に基づく傾向などを調べます。

どのような分析を行うか、また分析からなぜそうなっているかなど、さまざまな種類のデータを分析するため、効率的に行うにはBIツールなどが必要になるケースもあります。

この段階で活用できるフレームワークは、以下のようなものがあげられます。

ロジックツリー(問題をツリー上に分解し解決する手法)
RFM分析(過去の購入状況から顧客を分析する手法)
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(プロダクトを分析しレベル分けする手法)

段階③ 価値の創造

過去や現在のデータから、未来を予測したり、新たなビジネスモデルの創出などにつなげます。この段階になると扱うデータの種類が多くなり、AIやRPA(ロボティックプロセスオートメーション)などを活用することが多く、スキルのある人材が必要になります。

この段階のフレームワークには、以下のようなものが活用されます。

システムシンキング:物事を全体的に捉えようとする考え方
AHP(Analytic Hierarchy Process):階層分析法のことで、人の評価の仕組みを構造化し、意思決定を行う手法
4P:売れる仕組みを製品(product)・流通(place)・価格(price)・プロモーション(promotion)から考える手法

まとめ

経済産業省の[データ利活用のポイント集 -データ利活用の共創が生み出す新しい価値-](https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/datapoint.pdf)では、データの利活用には目的の明確化と方針の提示が必要と解説しています。データから何を生み出すか、目的をしっかり持ったうえでフレームワークを活用しましょう。

データ活用には専門知識が必要になるため、信頼のおけるITパートナーを見つけて、しっかり相談することがおすすめです。