ウィズコロナとデータ活用。中小企業でDXを成功させるコツとは?

2022.09.13
 

近年では、IT化やDXの推進などによりデータ活用が進められていますが、ビジネス全体で見るとその実態は大企業が中心であることが多く、中小企業の対応はあまり芳しくないのが現状です。

データ活用には、DX化が大きな鍵を握りますが、中小企業のDX化を成功させるには何が必要でしょうか。そこで今回は、中小企業がデータを活用する方法やポイントについて解説していきます。

東京都におけるデジタル戦略

IMD(国際経営開発研究所)が発表した「デジタル競争力ランキング」[総務省:令和3年版 情報通信白書](https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd103100.html)によると、日本は63カ国中27位。ほかのアジアの国・地域がトップ10入りしていることから見ても、日本は急進的にデジタル化が進んでいるわけではないことが分かります。

そのデジタル社会を加速させるため、東京都では[スマート東京(東京版 Society 5.0)](https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/news/2020/doc/20200221_kihon.pdf
)を打ち出し、基幹インフラの整備、官民連携のデータプラットフォームの構築、都民向けスマートサービスなどの戦略に取り組んでいます。

これらはデータ活用によるデジタル戦略であり、今後の日本・東京の発展・成長は、デジタルの促進にかかっているといえるでしょう。

ウィズコロナとDX

DXは、「ウィズコロナ」の視点からも加速しており、さまざまなサービスが非対面・非接触型へシフトしています。

街では交通機関や商業施設、ビジネス、医療、エネルギーなど都市のインフラやサービスにデジタルテクノロジーを導入しているほか、カメラやデジタルサイネージを用いて人流や通行量の計測、歩行者の属性など多様なデータを収集。地域振興や防災などに役立てています。

行政については「東京デジタルファースト条例」を制定し、さまざまな手続きをデジタル化する仕組みを構築しています。

このように、たくさんのものがデータによってつながり、都民のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上を実現するため、多くのデータが流通する社会を目指しています。

中小企業でのデータ活用

行政や大企業がデータを活用していることからも分かるように、中小企業にとってもこれからの時代は、データ活用やITから逃れることは難しく、商売を実現するため経営者自らがデータと向き合う必要があります。

しかし実際に成功している中小企業は、大企業などのようにコストや利益を考える従来のマネジメント方法とは少し異なります。

中小企業では、「現場を変えたい」「この作業をスムーズにしたい」「〇〇があれば面白そう」など、日々の困りごと、自分がしたいことにフォーカスし、それに取り組んだ結果として売上アップなどの相乗効果を生み出す傾向にあります。

企業は、規模が大きくなると意思決定に時間がかかる傾向がありますが、中小企業は経営層も小規模になるため意志を通しやすく、改善に積極的に取り組めるのもメリットです。

中小企業でデータ活用に取り組む人の特徴

データ活用に取り組む中小企業は、社長自らが現場で働いているケースが多いといわれています。現場の状況や社員の働き方、顧客の反応などから課題が見えてきますが、その課題に取り組むためにはデータによる客観的な現状の可視化が必要になるため、DX化に踏み切るのです。

このような中小企業は、経営者の世代交代などによく見られ、2代目がデジタルツールを取り入れて管理業務を効率化したという事例や、社長が自らクラウドツールを作ったなどの事例も存在します。

データ活用を成功させるコツ

いざDXに取り組むことを検討しても、何から始めてよいか分からない人が多いのではないでしょうか。そこで、DXの成功につなげるために「データ活用」の目的を明確にしていきましょう。

活用できるデータ・活かせる業種や領域を把握する

データは「情報」であり、データを分析するのがデータサイエンティストやアナリストといった専門家、データを活用するのが会社です。

専門家を雇用できれば良いのですが、データ分析ができる専門家は慢性的に不足していることもあり、全てのことを1人または1企業で実施するのは現実的に困難です。まずは企業自らができる領域を把握し、社内にあるデータをどう活用するかを考えましょう。分析など、専門家が必要な場合は外部委託する方法もあります。

データ分析ができるリソースを確保する

DXを導入していない企業には、データを活用する前にデータ量そのものが足りていないことも考えられます。まず社内の内部データを収集・分析し、不足する場合や、一般消費者や社会の傾向・トレンドなどを探りたい場合は、国や行政が公開しているオープンデータ、ビッグデータなどの外部データを組み合わせてみましょう。

データは機密情報や個人情報なども含まれる場合が多く、できるだけ内部で行う企業のDX化が重要です。

キャッシュレス化から始めてみるのがおすすめ

中小企業は、大企業のように大きな予算が取れない場合が多く、いきなり高額なシステムを導入するのは困難です。そこで、データ収集として始めやすいのがキャッシュレス決済になります。どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

キャッシュレス化のメリット

キャッシュレスにすることで、電子決済がデジタルデータとして記録され、現金と比べ売上の管理がスムーズになります。

また、売上データをマーケティングにも活用できます。購入した商品や個数、日時などが分かるため、商品のトレンドを把握することができ、売上の多い時間帯などに合わせた商品販売を行うことが可能です。また、キャッシュレス決済を活用する顧客を対象に、キャンペーンなどを行うこともできるでしょう。

さらに、キャッシュレスによる業務フローの改善、コスト削減につながる可能性があります。例えば店舗の「レジ締め」は手作業で行われますが、経済産業省の[キャッシュレスの現状及び意義](https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/image_pdf_movie/about_cashless.pdf)によると、レジ1台分当たりのレジ締めにかかる時間は25分、1店舗当たり平均153分と算出されています。

これらの作業が短縮することで、業務時間の効率化・省人化などにつながります。またキャッシュレスに加え、ペイロール(給与支払いシステム)を活用すると、給与計算業務が自動化されるだけでなく、賞与や勤怠、社会保険などの事務処理、管理業務が効率化され、業務フローの改善につながります。

データ分析と活用の方法

キャッシュレス決済を導入し、売上データをデジタル化します。決済データは自動で更新されるため、売上を日ごと、週ごと、月ごとなどに分類することができます。

現金などの売上や支出などの記録もデータにして決算資料としてまとめ、これらを事業ごとや売り上げた商品ごとなどさらに分類し、目的に合わせて情報を組み合わせ、分析作業を行います。

分析にはBIツールの活用、ツールを活用できる人材育成なども必要になってきます。環境を整えることは、その後のデータ活用を経営に活かすためにも重要です。

決済方法の選び方

キャッシュレス決済には、ICカード、QRコード、ポイント払いなどさまざまな種類があります。利用者によって使うものが異なるため、複数の支払い方法に対応できるシステムを選びましょう。

キャッシュレスから、DXを成功させよう

前述の経済産業省の報告では、キャッシュレス決済を利用できる場所が多かったら、もっと買い物をしたかったという訪日外国人は、中国・タイで8割以上でした。今後の売上拡大につなげるためにも、キャッシュレス化を検討してみてはいかがでしょうか。

またDXツールの導入、効果的なデータ活用を行うために、信頼できるITパートナーを見つけて相談してみましょう。

(画像は写真Pixabayより)